LIVE REPORT | 2020.01.08

ザ・クロマニヨンズ

『ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020』DRUM LOGOS 12/29(日)ライブレポート

2019年、令和元年が終わりを迎えようとしている、12月29日『ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020』DRUM LOGOS福岡公演2日目。ここ福岡で、全58公演におよぶ全国ツアーもちょうど半分を終える。年に一度、アルバムをリリースし全国ツアーに出る。メンバーにとってのいつものこと、も、2019年そして令和元年の終わりを、ザ・クロマニヨンズのライブとともに迎えることは、ファンにとっては特別でありメモリアルでもあるはずだ。ただ、甲本ヒロトは以前のライブで「今年最後とか、そんなことは関係ないよ、いつものロックンロールをやるだけだ」と語っていたので、きっと今日が特別ではなくいつもの音楽を楽しむ気持ちでいるだろう。

開演前、会場は今か今かとスタートを待ち望む熱気に溢れている。前説の男性が「あしたのジョー」の丹下段平を思わせる扮装で登場し、「打つべし!打つべし!おまえの鉄拳、叩き込め!ロックンロールの血が騒ぐ。ザ・クロマニヨンズです!」と叫び、ステージの“PUNCH”の文字に明かりが灯ると、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(G)、小林勝(B)、桐田勝治(Dr)が登場。

歓声という名のどよめきが起こり、会場がザ・クロマニヨンズのロックンロールへの臨戦態勢に。そしてライブがスタートすると客席は、いきなりヒートアップ。これぞザ・クロマニヨンズ!そう思わざるを得ない空気感に鳥肌がたつ瞬間だ。最新アルバム『PUNCH』からの楽曲が続き、「ビッグチャンス」ではドラム・桐田の力強いビートがライブハウスを震わせるかのようだ。真島のギターがロックを刻み、その中を泳ぐように甲本が歌い、ステージを動きまわる。ロックという音楽の楽しさを、メンバーが全身で伝えてくれる。病みつきになるステージとはこういうものだ、と改めて実感できた。

今回のアルバムで印象的だったのは、小林のベースと桐田のドラムがフィーチャーされている楽曲が多いことだ。CDで聴いていてもそう感じたのだから、ライブではなおさら強く感じてしまう。“変わらずに進化しつづける”、そんな彼らの音楽の真髄のようなものを感じられる骨太なロックンロール。

ライブ中盤で「A面が終わりました。こんばんは、ザ・クロマニヨンズです。挨拶は大切だと思って。挨拶をしないと、あれは誰だろう?と思われそうなので、この名前だけは覚えていってください」という甲本のチャーミングなトークで、会場はさらに盛り上がる。

シングルリリースされた「クレーンゲーム」は、アルバムのそれとは印象が大きく違っていて、叙情的な詞からは想像も着かないような疾走感のある演奏と、甲本の力強いヴォーカルが耳から離れない。聴き手の心に、音楽を通してメッセージを残す。これまで何度、彼らの音楽に人生を助けられただろう、そんなことを思いながらも、身体はビートに乗せられて自然に動いている。すごい楽曲だ。そして印象的だったのは「底なしブルー」。真島のギター、甲本のブルースハープ、重低音が響く桐田のドラム、それに呼応するような小林のベース。全てが一体となった光景は忘れがたい。

後半は、アルバムの“B面”へ。「リリイ」「長い赤信号」など、後半はフォーキーな楽曲もあり、ここにザ・クロマニヨンズの音楽の“芯”が、あると感じさせられる。

MCで甲本が「ありがとう。すごく楽しいです。これからノンストップで最後までぶっ飛ばします。みんな自分の場所、気に入ってますか?自分の場所で、それぞれに楽しんでください」と語り、そこから、「生きる」などシングル曲で、息をつかせぬ勢いで続け、ライブはクライマックスへ。会場とともに“どん底だから、上がるだけ”を大合唱した「どん底」で、さらに熱狂の渦に呑み込まれる。こういう観客との一体感も、ザ・クロマニヨンズ・ロックの虜にするひとつだ。「一緒に、ロックンロールを楽しもうぜ!」ライブでの様々なパフォーマンスから、そんなメッセージが溢れている。

アンコールでは、上半身裸で登場し、「もう少し、やらせてください」と甲本が語り、スタートする。観客とメンバーが引き合いながらも、ロックを通して、最高潮に達していく。「また、来年も会おう!」。メンバーそれぞれが、ステージフロントに出て、最後のパフォーマンスで幕を下ろした。

2006年の活動スタートから、アルバムを聴きライブに参加しているが、今回改めて感じたのは、ザ・クロマニヨンズは進化しつつも、深化しているのではないかということだった。彼らが刻むビートに乗せられ、身体を委ねつつも、気持ちの中では彼らが紡ぐ歌詞を自分と照らし合わせている。そこには、常に新しい発見があり、常に意外性が存在している。まさに唯一無二の音楽を浴びせてくれる希有なロックバンドが、ザ・クロマニヨンズだ。

 

撮影:ERI SHIBATA
TEXT:Aya Tsutsui

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Shows Info

『ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020』

 

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