RELEASE INFO

ハルカトミユキ

『最愛の不要品』

ハルカトミユキ 4th EP「最愛の不要品」
2020年6月24日(水)配信先行リリース

語弊をおそれず言うと、こんなに自分たちの意思を尊重して制作できたのは初めてです。
これをダサいと言われようがなんの後悔もない(ハルカ)

まさにその言葉通り、ハルカとミユキの2人が10年以上の月日をともに歩いてようやく得た真のカタルシスがここにある。タイトルは『最愛の不要品』。“不要=不良”ではない。それが世間では取るに足らないものでも、バカバカしいと言われても、自分たちが選んだ物事は大切に愛でたい。それは2人がずっと前から常々口にしてきたことではあるが、抑圧された社会では、そのピュアネス自体が何なのかを見失うこともある。そして生じる葛藤と解放を繰り返した最終地点がここなのかもしれないと思えるほどの充実と自由のうえに、新たなフェーズと変わらない魅力が乗った作品が誕生した。

まず、もっとも大きな変化としては、サウンドが現在のグローバルスタンダードに大きく接近していることが挙げられる。ハルカトミユキは2012年にデビューして以来、長きに渡ってサポートメンバーを加えた5人編成のロックバンド然とした形態で多くのファンを魅了してきた。しかし、近年はバンドへのこだわりを見つめ直し、ミユキがマニュピレーター的な役割も担い使える音の選択肢を広げ、その抜き差しによって描くレイヤーとグルーヴ感にこだわるようになる。そうするととりわけグルーヴにおいては、日本のポップスとUSやUKのそれには、まだまだ埋まらない差があることもわかる。そこで、リスナーとしてだけでなく制作面からも世界を見ることへの関心がこれまで以上に高まり、2019年に入ってからは、まずUKにインプットの旅へ。帰国後はそれが求められているかいないかではなく、“とにかくやってみたい”と、2人だけないしはドラムを加えた3人編成中心の思考にシフトチェンジ。自由を求めて未知なる領域に踏み込む動きがさらに前進した。

そのうえで今回は、レコーディングのディレクションとミックスを安原兵衛、タイトル曲「最愛の不要品」のアレンジにはavengers in sci-fiのメンバーである木幡太郎と稲見喜彦によるトラックメイク&マシンライブユニットThe Department (ザ・デパートメント)と、2人と距離の近いメンバーを起用(avengers in sci-fiのドラマー・長谷川正法はハルカトミユキのライヴをサポートするメンバーでもある)。そしてマスタリングはなんと、Amy WinehouseやDisclosure、Aviciiら世界的トップアーティストとも仕事をしてきたイギリス・Metropolis Masteringのスチュアート・ホークスに依頼した。その結果、低音を前面に奥行きを持たせた豊かでモダンなサウンドデザインとグルーヴ感はさらに一段上へと持ち上がり、それぞれにまったく異なる粒の立った5曲のポテンシャルが大きく引き出された。

「everyday」は、切なさと包容力を併せ持つ決定的なメロディーとハルカの声を、まずはビートレスでプッシュした時点で勝利している。そこから90年代のブリストルを思わせる、ゆったりとした鼓動のようなビートを軸に、優しさの中にギターノイズのカオスが垣間見えるサウンドの重なりが実に美しい。

「Continue」は日本のフォークから歌謡曲へと流れる古き良き時代感が印象的な曲だ。ノスタルジックな生活やのどかな風景が思い浮かぶエヴァーグリーンな輝きに、前述のモダンなサウンドやスクラッチもぶつけるという、とんでもないことを平気でやって成立させてしまうセンスに、ハルカトミユキの原点的な魅力を感じる。

「最愛の不要品」は、GrimesやChvrchesを思わせるエレクトロナンバーに。ハルカとミユキの音楽性と親和性の高い、ロックとエレクトロを独自の感覚で掛け合わせたavengers in sci-fiから生まれたThe Departmentとのコンビは見事。そこにStuartの腕が加わることで、まさに鬼に金棒なキラー・チューンに仕上がっている。

初期の名曲「マネキン」や代表曲「世界」といった90年代インディールーツの曲と現在進行のポップをファンタジジックに重ね合わせたような「SFみたいだ」は、かねてからハルカトミユキを知る人なら思わずニンマリするだろう。また、THE 1975やPale WavesらDirty Hit勢のファンにもぜひ聴いていただきたい。

「扉の向こうで」はまた新たなライヴアンセムとなりそうなエモーショナルでロック色の強い曲。ハルカの言葉だからこそのスリルがもっともダイレクトに味わえる曲でもあり、そのドラマ性に注目だ。

今ほんとうにやりたいことをイメージにとらわれず新しいやり方でトライしていく。ここにきてますます好奇心が上昇している2人は、これからもピークを塗り替え続けることだろう。

Text by TAISHI IWAMI

Release Info

ジャケットデザイン:岩本実里(Hello Stranger)

 

アーティスト名:ハルカトミユキ
タイトル:最愛の不要品 (サイアイノフヨウヒン)
配信日:2020 年6 月24 日(水)
形態:配信(各ストリーミングサービス / DL 販売¥200)
収録曲:
01.everyday
02.Continue
03.最愛の不要品
04.SFみたいだ
05.扉の向こうで

Profile

ハルカトミユキ

http://harukatomiyuki.net/