九州炎為楽団 | 2021.02.15

九州炎為楽団

【Shiki】2/12(金)ライブレポート

2組目は熊本発 ドラムレス・バンドShiki。

▼メンバー▼
akari(Vo/Gt/Syn)・yusei maeda(Vo/Gt)・sugimoto(Ba)

ライブの幕開けは『Melody of life』。
2019年5月にリリースされた全国流通盤『Season+2』収録曲。

DTMから繰り出される、リズム・トラックにyusei maedaの深くエコーがかったギター・ストロークが重なり、sugimotoがその音像をすっぽりと包み込むベース・ラインで呼応する。

この時、聴き手は一瞬にしてShikiの世界に埋没するのです。

そして何より耳を離さない、akariの個性的な声と歌唱。吐息のような歌いまわしとブレスの妙、特に歌詞の語尾に乗せる感情表現が特筆モノ!

そこに彩をつけるyusei maedaのダブル・ボーカルと、浮遊するシングル・ノートのギター・サウンド&ボリューム・コントロールがまた絶品!!

「Melody of life」(生活/人生/生命の音階)のタイトルにShikiが持つ音楽の普遍性を感じます。

曲を歌い終えたakariが「最後まで楽しんで行ってください」と、まるで目の前にオーディエンスが見えているかのように言葉をかける。

カラフルな音の粒が跳ねるようなポップなイントロから、2曲目の『新しい日の君になる』へ(こちらも『Season+2』に収録)。

オートチューンでデコレートされたakariのボーカルが、1曲目とは違った表情を見せるナンバー。これも楽曲の中に秘められたダンサブルなグルーヴは、sugimotoのベース・ラインによる仕業。

akariもそのグルーヴの中でステップを踏みながら「そうやって/これからは歩いていくんだ/笑っていくんだ」と新しい日への希望のメッセージを軽やかに歌います。

エンディングで再びイントロで聴こえたポップなサウンドに合わせて、コーラスの声や様々なシンセサイザーの音色が重なって行き、そのままレコード針が擦れるような音から次の曲へ繋がって……。

このあたりのサウンド・コラージュによる展開は実にお見事。

3曲目は『夜の真ん中』。

akariがシンセサイザーで奏でる優しくあたたかなメロディが郷愁を誘います。

ゆったりとしたテンポの中で、yusei maedaのミュート・ギターとsugimotoのR&Bテイスト溢れる抑えめのベース・ラインが、シンセのメロディと重なって無類の心地よさを届けてくれます。

ここで、akariによるMC。

「わたしたち音楽家は配信を通して、みなさんに希望を届けられたらいいなと思っております。配信は配信なりの楽しみ方があるとは思いますが、またいつか直接ライブを見て頂ける日が早く来るように祈っております」

と、このコロナ禍でも自分達の音楽をしっかりと届けながらも、リアル・ライブでのオーディエンスとの再会を願う思いが込められた真摯なMCでした。

ライブ後半、4曲目は『Sea Knot,Death glow』。
次回のアルバムに収録予定という新曲。

これまでの3曲からガラリと雰囲気が変わり、シンセサイザー・サウンドによるハイテンションなイントロからyusei maedaのディレイ・ギターと、sugimotoのボトムの太いベースが醸し出すスピード感に満ちたサウンドが聴く者を圧倒的に高揚させます。

大きな会場で、大きな音で聴いたらオーディエンスはきっとジャンプして盛り上るはず!!

akariの歌の表情も一変し、ひとことひとこと力強く言葉を紡ぎながら、yusei maedaは間奏で早いパッセージによるギター・ソロで更にスピード感を注入。

そのあともボリューム・コントロールを駆使しての絶妙なギター・サウンドで楽曲の世界観を決定付けます。

Sea knot(海の結び目),Death glow(死の輝き)という哲学的なタイトルから聴き手は様々なイメージを膨らませながら、Shikiの深層心理をのぞいたような感覚に。

「君も誰かで/僕も誰か」という歌詞が印象的でした。

熱い余韻を残したまま、演奏がピタリと止み、「それでは最後の曲です。みなさん、またお会いしましょう。お元気で」というakariのメッセージから、ラスト・ナンバーの『Night(e)scape』へ。

yusei maedaのロック・アレンジなギター・リフにsugimotoのスラップ・ベースが、特有のムードを醸し出します。

曲の終盤。

眠らない街で「無表情に/無感情に/夜の闇を消し去るような/希望の朝をのぞんだ」と歌い放つakariのエモーショナルな歌唱に鳥肌。

果たして、わたしたちは“夜”という実に厄介なクセものから逃れることは出来るのだろうか?

そんなことを最後の最後に聴き手に想像させる、ラストに相応しい名曲でした。

DTMソフトサウンド+生演奏という独自のスタイルで、完成度の高い楽曲群をコンパクトな時間で見事に披露してくれた3人。

akariがMCでも言っていたように今度はぜひ「リアル・ライブ」で、この音世界を味わってみたいです!

素晴らしいパフォーマンスをありがとう!!Shiki!

SET LIST
1.Melody of life
2.新しい日の君になる
3.夜の真ん中
4.Sea knot,Death glow
5.Night(e)scape

Information
◆Discography
https://www.shiki-kumamoto.com/disco
◆Music Video
https://tinyurl.com/y3kj7rox
◆Twitter
https://twitter.com/shiki_kumamoto
◆Instagram
https://www.instagram.com/kumamoto.shiki/
◆HP
https://www.shiki-kumamoto.com/

text:松田康宏
※転載不可